X-NIHONBASHI conference Powered by NewsPicks Vol.2Connecting the Earth ビジネスフィールド「宇宙」から、「地上」のイノベーション創出へ
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2021年12月14日に室町三井ホールにて開催された「X-NIHONBASHI(クロスニホンバシ) conference Vol.2」。
宇宙をビジネスフィールドとして考えることで、いかに地上のイノベーション創出につなげていくのか。3つのテーマのトークセッションで、宇宙という新しいビジネスフィールドに広がるチャンスについて、活発な意見交換が行われました。

■SESSION1:宇宙×モノづくりの可能性

セッション1は「宇宙産業でモノづくりのポテンシャルは解放できるのか」をテーマに、リバネス代表取締役・グループCEO 丸幸弘氏、ElevationSpace CEO 小林稜平氏、キャディCS責任者 中原雄一氏が登壇。NewsPicks Re:gion編集長 呉琢磨氏がモデレーターとなり、日本が誇るモノづくり産業が抱える宇宙産業創出のチャンスと課題について考えました。

「製造業が30年後を見据えて、宇宙産業に関わる上での課題は何か」(呉氏)という問いかけに、宇宙ビジネスで幅広く活躍するイノベーターとしての立場から丸氏は「宇宙ビジネス=ロケットや衛星に限定すると参入企業は限定される。しかし、想像力をもっと働かせれば、地上のあらゆる産業が宇宙に関連づけられるのでは」と宇宙ビジネスの幅広さを指摘。さらに「すでに巨大なエコシステムを持つ大企業が参入することで、モノづくりを支える中小企業にも宇宙ビジネスのチャンスが生まれる」とも語ります。

製造業に特化した受発注ビジネスを行い、町工場の現場に詳しい中原氏も、「宇宙ビジネスは地上のビジネスのエコシステムを宇宙環境にカスタマイズして活かすことができる。アジリティとレベルの高さに大きな強みを持つ日本の町工場が想像力を持ち、そこにきちんと投資が加わることが重要です。それが日本のモノづくりを宇宙ビジネスに拡大する起点となっていくはず」と言います。 また、宇宙スタートアップの起業家・小林氏は「低軌道の宇宙旅行の時代はすぐそこ。宇宙空間での食糧生産や家電も必要になると考えると、チャンスは無限。日本は製造業のエコシステムという土台を生かして、できるだけ早くあらゆる企業が参入すべき」とチャンスの大きさを訴えました。

■SESSION2:宇宙×Z世代の描く未来

セッション2では、未来を担うZ世代が登壇。モデレーターにaraca CEO・Creative Director 辻愛沙子氏、スピーカーにSpace Enterteinment代表取締役 榊原華帆氏、大阪大学グローバルイニシアティブ招へい研究員 佐久間洋司氏、そしてセッション1に引き続きElevationSpace CEO 小林稜平氏を迎え、「Z世代は宇宙ビジネスに何を期待するのか」を語り合いました。

SDGsや地球環境に関心の高いZ世代を代表して辻氏は「宇宙開発の道を切り開くことで未来の選択肢を増やすことは重要だが、山積する地球の課題解決とのバランスが気になる人もいるのでは」と疑問を投げかけます。

小林氏は「GPSや天気予報など、すでに地上の生活は宇宙のインフラに依存している。宇宙開発は遠い世界ではなく、とても生活に身近なこと。例えば、ElevationSpaceで行う宇宙環境での実験でも、人が宇宙に出ていくことを目的とするものだけではなく、薬の開発や食料生産など地上の生活に直接貢献する研究も多くあります」と、宇宙開発が地球の暮らしに大きく貢献していることを解説。

宇宙でのエンターテインメントビジネスを推し進める榊原氏は、「人が活動領域をどんどん外に広げて、可能性を探るのはごく自然なこと。そこで私は宇宙でワクワクできるエンターテインメントを提供していきたい。Z世代は長期的視点で宇宙ビジネスを捉えやすいというメリットがあるが、経験豊かな世代との連携も重要」と、世代間連携の必要性を語ります。

宇宙は門外漢と自認する佐久間氏は、「個人の幸福と社会の幸福が調和する社会を本気で目指したいという気持ちが、Z世代にはある。そのひとつの可能性が宇宙空間では。いつか人類が地球に住めなくなる時代のリスクヘッジとしても、宇宙開発は必要」という一方で、「現状では莫大な資金が必要な宇宙開発に対して、いかに多くの人の共感を得られるかが宇宙ビジネスの課題」と指摘しました。

■SESSION3:宇宙生活×新しいプロダクトへの挑戦

セッション3では、宇宙空間での生活課題に注目。その課題解決は、地上のイノベーションにも直結するチャレンジです。NOSINGER代表 太刀川英輔氏、有人宇宙システム有人宇宙システム部副主任 山村侑平氏、花王研究開発部門ヘアケア研究所グループリーダー上席主任研究員吉田寛氏の3名と、モデレーターとしてNPO法人ミラック代表理事西村有哉氏が「宇宙生活から新しいプロダクトを考える」をテーマに意見を交わしました。

シャンプー液をシートに含ませ、水も不要な「3D洗髪シート」を開発した吉田氏は、「宇宙飛行士のISS(国際宇宙ステーション)での生活ニーズや行動は地上と共通する点が多くある」という気づいたといいます。「日常生活から宇宙に応用できる商品を開発することへの可能性を実感した」と、自身の経験談を披露。

宇宙飛行士のメンタルヘルス・パフォーマンスを支援する山村氏は、「ISSは微小重力、閉鎖性、リソースの制約など極限環境にあるといわれるが、暮らしという観点では日常生活とそれほど違わない。メンタルヘルス的には、地上と同じで人間関係の落ち着いた距離感をいかに保つかが重要。そう考えると、宇宙空間は、日常の課題が顕在化しやすい場所なだけ」と、宇宙と地球での生活の類似性を語ります。

また、太刀川氏は「進化思考」の観点から、宇宙生活で生み出される新しいプロダクトの可能性を次のように語りました。「生物の進化は変異することで新しいモノが生まれ、適応することの繰り返し。これは新しいプロダクトの誕生も同様で、花王の3Dシャンプーも、もともと地上でペット用に開発したアイデアの転用と聞く。そこでカギとなるのが、水や食物といった生態系に関わるサイクルから完全に切り離された宇宙での生活を可能する技術です。ゴミを出さない完全循環型技術は、その最たる例で、その技術は宇宙から地上の生活にも還元できます」 最後に西村氏が「地上の生活課題を宇宙に水平転用したり、宇宙起点のイノベーションが地球に貢献するプロダクト開発につながる。そこに多くの企業がビジネスの可能性を見出してもらいたいと思う」とセッションを締めくくりました。

当日のアーカイブは、以下よりご覧いただけます。
vimeo.com/user/121986750/folder/7610655

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